福島第一原発からのキセノン133とセシウム137の放出【プラスNatureNewsによる紹介】

法律: 科学技術 原発 放射性物質 放射能汚染 抄録

Atmos. Chem. Phys. Discuss., 11, 28319-28394

www.atmos-chem-phys-discuss.net/11/ 28319/2011/2011 

doi:10.5194/ acpd-11-28319-2011

© Author(s) 2011. 本論文は、クリエイティブコモンズ3.0表示ライセンスで提供される。

福島第一原発からのキセノン133とセシウム137の放出:ソースターム、環境への広がり、沈着の確定

著者:A. Stohl [1], P. Seibert [2], G. Wotawa [3], D. Arnold [2,4], F. Burkhart [1], S. Eckhardt [1], C. Tapia [5], A. Vargas [4], and T. J. Yasunari [6]

[1] NILU-ノルウェー大気研究所・ノルウェー・ケーラー

[2] 天然資源・生命科学大学気象学研究所・ウィーン・オーストリア

[3] 気象学・地球力学中央研究所・ウィーン・オーストリア

[4] カタロニア技術大学エネルギー技術研究所(INTE)・バルセロナ・スペイン

[5] カタロニア技術大学・物理学・核工学部(FEN)・バルセロナ・スペイン

[6] 大学宇宙研究協会・ゴダード地球科学技術研究・コロンビア・MD21044・アメリカ合衆国

抄録:2011年3月11日、本州の太平洋岸約130キロ沖で地震が発生し、続いて大規模な津波が起きた。それによる東京電力福島第一原子力発電所(FD-NPP)の電源喪失は原発の大事故を引き起こし、大量の放射性物質が大気中に放出された。本研究では、希ガスであるキセノン133(133Xe)およびエーロゾル結合セシウム137(137Cs)という2種類の同位元素の放出を測定する。この二つは、放出の様式も、大気中での挙動も大きく異なる。4月20日までの、高度と時間の関数として放射性核種の放出を算出するために、事故を起こした原発の燃料一覧情報と事故の推移の記録に基づいて、放出量の初期推定を行った。この初期推定を、大気移動モデルとELEXPART、日本、北米その他の地域の数十カ所の観測地点の測定値データを加えて逆モデリングにより改善した。大気活動度集中測定および、137Csについてはバルク沈着の測定を用いた。133Xeについては、合計で16.7(不確実性の範囲は13.4~20.0)EBq【エクサベクレル・エクサは10の18乗】となり、これは、核爆弾実験によるものではない放出としては、歴史上最大の放射性希ガス放出である。最初に133Xeの放出が始まったのは極めて初期の段階、おそらくは地震後、3月11日協定世界時06:00に原発が緊急停止した直後であることを示す有力な証拠がある。2011年3月11日から15日の間に1号炉から3号炉で全種類の希ガスが放出された。137Csについては、インバージョン結果が示す放出送料は35.8(23.3~50.1)PBq(ペタベクレル)、すなわちチェルノブイリ事故における放出量の約42%である。分析結果は、137Csの放出ピークは3月14日~15日であるが、12日から19日まで放出量が大きく、それが、4号炉の使用済核燃料プールへの放水が始まったのとちょうど時を同じくして急減していることを示している。このことは、損傷した原子炉そのものだけからではなく、4号炉の使用済核燃料プールからも放出があったことを示しており、放水は有効な対策であったことになる。我々はまた、日本および北半球全体における放射性雲の拡散と沈着のパターンを調査した。一見したところ、放出が激しかった時期に西風が中心であったことは幸運だったように思えるが、詳しく分析すると、別の状況が現れてきた。3月14日と15日、137Csの最も大きな放出があったとき及びその直後に、そして再び大量放出があった3月19日に、放射性プルームが本州東部に進んで降下し、その結果、地表面に大量の137Csが沈着することになった。プルームはさらにすぐに北半球全体に広がり、まず3月15日には北米に、そして3月22日には欧州に到達した。一般に、日本および遠隔の地点における133Xeと137Csのシミュレーションと観察の値はよい一致を示している。全体として、6.4TBqの137Cs、すなわち4月20日までの総降下量の19%が日本の陸地に沈着し、それ以外のほとんどは北太平洋に降下したと推定される。日本以外の陸地に降下したのは全体の2%にあたる0.7TBqにとどまる。

ディスカッションペーパー (PDF, 6457 KB) / 補遺 (13 KB) / ディスカッション (オープン・コメント1件) / 初稿はACPで査読中。

引用情報: Stohl, A., Seibert, P., Wotawa, G., Arnold, D., Burkhart, J. F., Eckhardt, S., Tapia, C., Vargas, A., and Yasunari, T. J.: Xenon-133 and caesium-137 releases into the atmosphere from the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant: determination of the source term, atmospheric dispersion, and deposition, Atmos . Chem . Phys . Discuss., 11 , 28319-28394, doi:10.5194/ acpd-11-28319-2011, 2011. Bibtex / EndNote / Reference Manager / XML

なお、この記事の紹介がNatureNewsにあります。最初の2段落は:

3月に起きた東京電力の福島第一原発事故で放出された放射性物質の量は日本政府の発表よりもはるかに多いと、【A. Stohlらの】研究は結論づけている。この研究は、世界中の放射能データを使って、破壊された原発からの放出規模とその拡散を推定したものである。

同研究はまた、日本政府の主張とは異なり、半減期の長い環境汚染放射性物質であるセシウム137は、使用済核燃料貯蔵プールからも大量に放出されたと示唆する。これは、適切な初動対応で防止できたものである。この分析は、Atmospheric Chemistry and Physics誌への公開ピアレビューのために、オンラインで公開されている。

【NatureNewsの部分は、引用/フェアユースの範囲内での訳出公開】

2011-10-28 15:11:05 / eengine
原文サイトを表示
[ 原文 ] http://www.atmos-chem-phys-discuss.net/11/28319/2011/acpd-11-28319-2011.html
Creative Commons License この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス