低線量放射線の影響:ソ連の科学、原子力業界、そして独立した科学?

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チェルノブイリ原発事故と東電福島第一原発事故をきっかけに、いわゆる低線量放射線の影響に対する関心が世界的に広まった。しかしながら、当惑せざるを得ないことだが、これまでの研究は、ソ連の科学研究と原子力産業が後押しした研究が中心で、それに独立した科学者が一部貢献しているという状況にある。Anders Pape MøllerとTimothy A. Mousseauが、低線量放射線が動植物や人間に与える影響をめぐる研究について案内する。

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メンフクロウやラット、人間、ムラサキツユクサやタマネギに関する研究は、いずれも、放射線の負の影響を有意に示している。

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IAEAが後押しするチェルノブイリフォーラムが、発癌率の予測を高汚染地域に限定した理由の一つは、チェルノブイリ事故のフォールアウトがあった中欧と西欧のはるかに大きな人口を考慮すると、人間の健康リスクに関して劇的に高い推定が与えられる点にある。実質上、チェルノブイリフォーラムは、相対的に低頻度であるためにリスクが計測できないならば、リスクを推定すべきでもないとの立場を取っているかのようである。しかしながら、独立した研究者が繰り返し指摘してきたように[11]、健康被害(例えば癌など)の発生確率が放射線量に比例し、それ以下では影響がないと言えるような閾値が存在しないと仮定するならば、対人口リスクは、影響確率に被曝を乗じたものとなる。言い換えると、個々人における健康被害の確率が小さくても、多数の人が被曝した場合、それに応じて多数の個人が健康被害を生ずる可能性がある。閾値と影響の線形性をめぐる激しい議論の背後には、この問題が横たわっている。その線量以下では被曝の影響はないという閾値など存在しないことを認めるならば、チェルノブイリ事故が引き起こした汚染が広い地域に及ぶ規模のものであり、ほとんど大陸規模であったことを考えると、健康に相当の影響が起きることを認めざるを得なくなる。さらにまた、閾値がなければ、低線量被曝に対する反応は----一部の研究者が示唆するように反応が超線形であるならばとりわけ[12]----人口全体のリスクに反映することになる。低線量被曝のハザードがわずかに多かっただけという場合でも、チェルノブイリ事故の場合のように被曝人口が膨大である場合には対人口リスクは大きく上昇する。独立した科学者が合意し、また我々が行ってきた調査すべてが示唆する知見は、閾値ありモデルを支持しておらず、現在のところ、線形反応モデルに近いものともっとも整合的である。ただし、観察された用量反応関係の具体的な形は、異なる観察点や異なる種で大きなばらつきがあることを考えると、もっとも重要な点というわけではない。

[11] Wakeford, R. (2002) Evaluation of the linear-nonthreshold dose-response model for ionizing radiation (NCRP Report No. 136) .  Journal of Radiological Protection, 22(3), 331.

[12] Sawant, S. G., Randers-Pehrson, G., Geard, C. R., Brenner, D. J. and Hall, E. J. (2001) The bystander effect in radiation oncogenesis: I. Transformation in C3H 10T1/2 cells in vitro can be initiated in the unirradiated neighbors of irradiated cells . Radiation Research, 155, 397–401.

Significance

2(15), 2013- From issue: Volume 10 Issue 1 (February 2013)

Doi : 10.1111/ j.1740-9713.2013.00630.x

 

 

  2013-02-24 20:36:18 / eengine
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[ 原文 ] http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1740-9713.2013.00630.x/pdf
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