チェルノブイリ事故時に0~5歳だった子どもにおける放射線由来白血病

法律: 放射線 原発事故 白血病 チェルノブイリ 論文抄録

抄録

本症例対照研究は、ウクライナで最も放射能汚染が高い地域(リウネ、ジトームィル、チェルニーヒウ、チェルカースィの各州)においてチェルノブイリ事故時に0歳から5歳だった子どもが、1987年から1997年の間に被曝を原因とする急性白血病に罹患するリスクを推定するために行われた。データとしては、1987年1月1日から1997年12月31日の間に白血病と診断された246ケースを収集した。各ケースを検証し聞き取りを行った。検証されたケースを、年齢・性別・居住形態(村落・半村落・都市)・行政地域でマッチングし無作為に抽出した492件からなる対照群と比較した。各ケース及び対応する対照群に対して、チェルノブイリ事故から白血病と診断された時までの累積放被曝量を評価した。被曝線量に応じた4グループ(0–2.9, 3–9.9, 10–99.9, 100–313.3 mGy)を選び統計分析を行った。10 mGy以上の被曝線量のグループでは、白血病のリスクに有意な上昇が見られた(-2.4 [95%信頼区間:1.4-4.0, p=0.01])。被曝線量とリスクの相関は男性においての方が高く(-2.8 [95%信頼区間: 1.2-5.1, p=0.05])、とりわけ急性骨髄性白血病においてその傾向が強かった(-5.8 [5%信頼区間: 1.4-24.6, p=0.05])。ありうる交絡因子および対照群抽出法の、白血病リスク評価に対する影響を分析した。単位線量あたりの評価リスクを議論する。

みーゆさんという方のtwitterで、この論文の中に、土壌汚染度と内部被曝の逆転現象が起きた例が指摘されていました。以下は、該当部分の抜粋部分訳です。原文には引用文献が付いていますが、訳では省略します。確実でない部分は残りますが、下記の要因の説明は、予防的な対策を早期から取ることと、汚染状況をきちんと測定し続け注意することの重要性を強く示しています。

我々の研究結果は、とりわけ白血病のケースに関して言えば、リウネ州の放射能汚染は比較的少なかったにもかかわらず、子どもの被曝は、ジトームィル州の子どもの平均被曝線量よりも大きいことを示している。この結果は、これらの州に関する住民の被曝評価として公表されている情報と整合している。被曝評価情報によると、10 mSvを越して被曝した人口は、リウネ州の方がジトームィル州よりもかなり多いのである。このような結果をもたらす主な要因は、三つ考えられる。第一は、チェルノブイリ事故後、ジトームィル州よりもリウネ州の方が、対策の導入が遅れたことである。例えば、ジトームィル州では、チェルノブイリ事故後、数年間、地元産の食材とりわけ牛乳とキノコの消費は禁止された。ジトームィル州では他の地域から汚染されていない食品を送ったのだが、リウネ州では主に地元の汚染された食材を消費した。

考えられる第二の要因は、ジトームィル州では、汚染が激しかった地域からは、事故後、住民が避難したことである。・・・

第三の要因は、リウネ州の土壌の性質に関係する。リウネ州の土壌における137Csの沈着量は200kBq/m^2を越えず、また、90Srと238-240Puの沈着量もごくわずかであった。ところが、1988年以降に行われた詳細な調査の結果、土中及び植物から非常に高レベルの137Csが認められた。これらがエコロジー連鎖を通してこの地域の動物や人々に移動し、高レベルの被曝につながった可能性がある・・・

Andriy G. Noshchenko, Oleksandra Y. Bondar, Vira D. Drozdova

オンライン初出:2009年8月17日

DOI:10.1002/ijc.24834

International Journal of Cancer

  2013-03-20 14:31:03 / eengine
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[ 原文 ] http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijc.24834/abstract
抄録のみの訳出。フェアユース。