東電福島第一原発と海洋放射能

法律: 日本 東電福島第一原発事故 放射能 セシウム 汚染 論文抄録

抄録

2011年3月11日に起きた三重の災害、すなわち地震・津波そして東電福島第一原発からの放射性物質の放出は、海洋と社会にとって前例のない出来事であった。本論文では、とりわけセシウム137及びセシウム134に注目して、東電事故による放射能放出を自然放射能およびこれまでの人工放射能と比較する。東電福島第一原発から放出されたこれら放射性核種の総量は詳しくはわかっておらず、大気中のフォールアウトと海洋への直接放出からの推定は4ペタベクレル(PBq)から90ペタベクレルと幅があるが、恐らくは15PBqから30PBqの範囲であろうと思われる。これは、1960年代の世界及び北太平洋でのフォールアウトにより北太平洋に残るセシウム137より少ない。セラフィールド再処理施設からアイリッシュ海に放出されたセシウム137の量と規模としては近く、1986年に起きたウクライナのチェルノブイリ原発事故の海洋へのフォールアウトよりも規模は大きい。セシウムがどのように移動するかは主としてセシウムが海水に溶ける性質であることにより決まるが、セシウムは砕屑粒子と結合したり生物により摂取され沈殿することから堆積物への沈殿も起きる。河川からのセシウム流入と現在も続く東電福島第一原発からの漏出のマスバランスを考えると、海底堆積物は今後数十年にわたって汚染された状態であり続けるであろう。底魚のセシウム堆積が予想を越えて多いままで、福島周辺で漁業が停止状態であり人々の心配を引き起こしている理由の一つはこの点にあるかもしれない。

Ken O. Buesseler | Marine Chemistry & Geochemistry Department, Woods Hole Oceanographic Institution, Woods Hole, MA, USA

Oceanography 27(1), http://dx.doi.org/10.5670/oceanog.2014.02.

  2014-01-13 15:13:02 / eengine
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[ 原文 ] http://www.tos.org/oceanography/archive/27-1_buesseler.html
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