福島のツバメの数と遺伝的損傷

法律: 東電福島第一原発 放射線 放射能 ツバメ 論文抄録

東京電力福島第一原発の事故で放出された放射性核種の分布について評価ないしモデル化した研究は少なからず存在する。しかしながら、それが周囲の生物相にどのような影響を及ぼしたかを調査した研究はほとんどない。我々は、ツバメ(Hirundo rustica)の巣雛が低線量の電離放射線に被曝したことで赤血球に対する遺伝子損傷が増加しているかどうかを調べた。我々は、熱ルミネッセンス線量計を用い、また、巣に使われている物質の放射線を計測することで、外部被曝を推定した。次に、中性コメット試験により、DNA損傷を評価した。さらに、異なる放射線濃度の地域において標準的な点観察によりツバメの数を調査し、個体数と年齢構成を推定した。ツバメの巣の標本における放射線量は、479〜14万3349ベクレル/キロであり、外部被曝線量は0.15〜4.9mGy(ミリグレイ)であった。放射線汚染への暴露は、巣雛の遺伝子損傷とは相関していなかった。しかしながら、放射能汚染度が高い地域では、ツバメの数は減少し、また、若いツバメの比率も減っていた。これは、生存率と生殖・巣立率が低いことを示唆している。以上から、巣雛の遺伝子損傷は汚染地域のツバメの個体数現象を説明しないこと、ここで述べた個体数の現象がどのように起きるかその機序については今後明らかにされねばならないことがわかる。

A. Bonisoli-Alquati [1], K. Koyama [2], D. J. Tedeschi [3], W. Kitamura [4], H. Sukuzi [5], S. Ostermiller [1], E. Arai[6], A. P. Møller [7] & T. A. Mousseau [1]

1 Department of Biological Sciences, University of South Carolina, Columbia, SC 29208, USA,

2 Japan Bird Research Association, Fuchu, Tokyo, Japan,

3 Department of Physics and Astronomy, University of South Carolina, Columbia, SC 29208, USA,

4 Faculty of Environmental Studies, Tokyo City University, Yokohama City, Japan,

5 Value Frontier Co., Ltd., Minato, Tokyo, Japan,

6 Division of Ecology and Evolutionary Biology, Graduate School of Life Sciences, Tohoku University, Sendai, Japan,

7 Laboratoire d’Ecologie, Systematique et Evolution, CNRS UMR 8079, Universite Paris-Sud, Batiment 362, F-91405 Orsay Cedex, France.

  2015-05-29 09:16:41 / eengine
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[ 原文 ] http://cricket.biol.sc.edu/chernobyl/papers/Alquiati-et-el-srep09432-2015.pdf
論文抄録。フェアユース。