電離放射線の低線量被曝は、脈管形成を活性化させることで、腫瘍の増殖と転移を促進する

法律: 放射線 放射能 腫瘍 論文抄録

抄録

放射線療法は癌に対する診療の一つとして広く用いられている。しかしながら、最近の証拠は、分割放射線療法の際に腫瘍標的組織に照射された電離放射線(IR)の被曝が、腫瘍の侵食と転移を促す可能性があることを示している。さらに、外部放射線治療では、対象となっている組織に対するダメージを避けるために、放射線を複数ヶ所から腫瘍に照射するため、腫瘍箇所周囲の組織も、腫瘍内部に対するよりは低い線量の放射線に被曝する。腫瘍周辺の健康な組織、とりわけ脈管構造に対する低線量IRの生物学的な影響はあまりわかっていない。我々は、0.8グレイ以下の線量で、細胞増殖や細胞寿命に影響することなく血管内皮細胞移動を促すことを明らかにした。さらに、我々は、低線量IRが、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)レセプタ2を含む複数の血管内皮タンパクの急速なリン酸化をもたらすこと、低酸素状況でVEGF生成を促すことを示す。VEGFレセプタ2を活性化することで、低線量IRは血管内皮細胞移動を促すとともに抗血管新生薬ベバシズマブが促進する血管内皮細胞死を抑制する。さらに、低線量IRは、ゼブラフィッシュ発生過程で胚血管新生形成を促し、ゼブラフィッシュ尾びれ再生期とマウスマトリゲル試験状況で成体血管形成を促すことが観察された。白血病と同所性乳癌のマウス実験モデルを用いることで、我々は、低線量IRが腫瘍の増殖と転移を促すこと、また、VEGFレセプタ=チロシンキナーゼ阻害剤をIR暴露直前に施すことでこの影響を避けられることを示す。これらの結果は、IRが転移を促す可能性に関する理解の新たなメカニズムを示すものであるとともに、現在の放射線療法プロトコルの改善へむけた理論的な根拠を新たに提供する可能性がある。

Inês Sofia Vala, Leila R. Martins, Natsuko Imaizumi, Raquel J. Nunes, José Rino, François Kuonen, Lara M. Carvalho, Curzio Rüegg, Isabel Monteiro Grillo, João Taborda Barata, Marc Mareel, Susana Constantino Rosa Santos

Published: June 21, 2010DOI: 10.1371/journal.pone.0011222

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  2015-10-31 06:54:35 / eengine
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