宗教の名の下での表現の自由の侵害 オンラインでの発生の増加および女性と性的少数者に与える影響

法律: ICT APC Bytes for All

宗教の名の下での表現の自由の侵害 オンラインでの発生の増加および女性と性的少数者に与える影響

APC and Bytes for All, Pakistan

2016年2月17日

宗教の名の下での表現の自由の侵害がオンライン上で行われることがますます増えており、女性と性的少数者に不均衡な影響を与えている。これは、来たるべき国際連合人権理事会総会に合わせて公開された、国際連合信仰あるいは信条の自由特別報告者の最終報告書の一助となるために、APCとパキスタンのBytes for Allによって出された声明の焦点である。

表現の自由と信仰の自由は国際的に保障された基本的人権である。それらは相互に関係があり、互いに依存し、相互に補強しあうことによって、どのような形の差別も受けることなくすべての個人によって享受されるべきものである。しかし、ますます多くの国々----とりわけアジアの国々----では、「宗教あるいは宗教的な感性を守る」という名目で、ヘイト・スピーチと扇動、「冒涜的な言動」、「宗教に関する讒言」に関する法律が制定されており、それは国際法の下で保護された正当な表現を奪うものである。これは宗教的な表現を含み、特定の宗教や信条、信者に対する差別を制度化した

国際連合信仰あるいは信条の自由特別報告者による報告書はこの重要な問題----表現の自由と信仰の自由----に焦点を合わせている。報告書は、不寛容さや否定的ステレオタイプ化、汚名を着せること、差別、暴力を扇動すること、信仰や信条に基づく人に対する暴力と闘うために、適切な利害関係者と協力して、冒涜法を撤廃し、理解のある政策を展開させるよう国々に求めている。

APCとパキスタンのBytes for Allは、その報告書の中では扱われていないが、懸念をもつべきある傾向に注意を向けている。具体的には、宗教の名の下での表現の自由の侵害と、女性と性的少数者に対するその影響に関するものである。

宗教は社会において女性と彼女たちの表現を支配するための道具の一つである

女性とその身体は、宗教団体が権力の動きを統制し、強化するための明らかな標的となることがしばしばある。女性はしばしば特定の社会の宗教的または文化的、道徳的な価値観を維持する重荷を不均衡に背負っている。宗教や道徳、文化、社会的な礼儀作法がかわるがわる用いられたり、同時に用いられたりしながら、この種の性質についての制約を女性に課すことの正当化が行われる。宗教に基づく偏狭さの現れには多くの形式がある。例えば、服の着こなしや人生の選択、信仰心の期待、自らの意見を表明することを理由にして、女性を攻撃することなどである。

女性を管理することを正当化するために宗教を使うことは、単なる表現の自由の侵害を超えたものである;それは、生存権や安全に対する権利、移動の自由、プライバシー、非差別、他の人々の中で社会の一員として十分に参画する権利などのような、他の人権を侵害することへと至る。それはまた、表現したいと望む通りに宗教を実践する、あるいは異なる宗教の実践を選ぶ、あるいは全くそれらを行わないという、信仰の自由の侵害を構成する。

レズビアンやゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックスだと自らを認識している個人や、性的権利に取り組んでいるグループは、しばしば逸脱者と見なされ、宗教を理由とした攻撃を絶えず受ける。国際的な人権規範の下では、性的表現は表現の自由についての権利の下で保護される。性的指向やジェンダー・アイデンティティを自由に表現する権利があり、もちろん性的指向やジェンダー・アイデンティティに関する問題についての情報を探し求め、受け取り、伝えるための自由もそうである。

オンライン空間は、宗教的な背景の下での権利侵害のための場となりつつある

だが、インドやパキスタン、マレーシアのような国々での反同性愛者法制は、性的少数者への反対と協調する形で使われ、法改正を主張している活動家たちは宗教的な過激派グループやそのような集団の支持者たちから殺害の脅しを受けている。マレーシアのトランスジェンダーの女性は、異性装の禁止に関連した個人の宗教法に違反しているという理由で警察と宗教的な権威からの嫌がらせを受けている。これは控訴院で、移動と安全に対する権利だけでなく表現の自由についての権利の侵害だと見なされたが、その判決は残念ながら連邦裁判所において覆された。

さらに注意するに値するもう一つの不穏な傾向は、オンライン空間が宗教的な背景の下での権利侵害が行われる場となる度合いが増しているということである。表現の自由についての権利を行使している個人や集団を標的とした宗教的な背景の下での侵害行為は、オンラインでますますありふれた出来事になりつつある。とりわけ国家安全保障の名の下で、あるいは宗教を守るためとして、オンラインでの表現は攻撃の的になった。地域を超えて市民たちは、ごくわずかな管理や説明責任の下でますます監視にさらされている。同様に、宗教に触れたどんな表現も、多数派の見解と一致しなければ、宗教的な感情に対する非道な行いとして攻撃対象となる。HRCが認めたように、人々がオフラインでもつ権利は、同じくオンラインでも保護されなければならない。

国家や非国家主体は、次第にデジタルの領域を使って言論を取り締まり、暴力を生じさせ、ブロガーや活動家、インターネットユーザーがあまねくそれらの空間から撤退するよう強いており、萎縮効果をもたらしている。

インドでは、2014年にFacebookへの投稿を理由としてイスラム教徒の若者が殺害された。2014年に、宗教的な協力関係をもった政治家の死についての投稿を理由として、情報通信技術法のセクション66Aの違憲規定を用いて、2人の女性が逮捕され、その後最高裁判所によって無効となった。バングラデシュではここ数年にわたって数人のブロガーが標的とされ、無神論者や非国民の烙印を押されて殺害された。2015年には4人の作家/ブロガー(Faisal Arefin DiponとAvijit Roy、Oyasiqur Rahman、Ananta Bijoy)がイスラム教やその他の宗教についての見解を理由として殺害された。多くの「殺害リスト」にブロガーの名前が載っていた。

パキスタンでは、活動家と報道関係者への攻撃が今ではインターネットに移っており、そこで人々は自らのオンラインでの活動や表現への脅威に直面し、不安に感じて自己検閲に溺れることになる。インターネットはまた、ヘイトコンテンツが広まる媒介ともなる。大抵このコンテンツは女性嫌いであり、社会的少数者を標的にする。穏やかな表現のための空間は大幅に縮小し、自由な表現が直面している危険は現実であり過激なものである。他方で、パキスタンではYouTubeは最近まで禁止されており、今でも宗教を理由としてかなりのフィルターがかけられたままである。

私たちは加盟国に対して、特別報告者による勧告とジャカルタ勧告を実行するよう勧める。それは、とりわけ女性と性的少数者に関して、非差別的な方法による宗教の文脈での表現の自由に関連した法律の施行や政策措置を伴うことにより、あらゆる個人とコミュニティに対して宗教的な文脈での表現の自由を保護することを確保するよう国々に対して求めている。

APCとパキスタンのBytes for Allは国際連合人権理事会に以下のことを求める:

・特に女性とセクシュアリティやジェンダー・アイデンティティを理由とした差別を受けている人々に関して、また、オンライン空間に関して、表現の自由と宗教が交わるところで起きる人権の問題と侵害に対して割り当てる資源を増やし、重点的に取り組むこと。
Resolution 16/18の実現とRabat Action Planを履行し、評価するとともに、宗教に関連するジェンダーに基づく侵害オンライン空間における侵害という側面を含めること。
・特に女性と
性的少数者、オンラインでの表現に関連して、宗教の文脈の下での表現の自由を保護するために国々が負うべき義務に関して明確な指標を開発すること。

ここで私たちの声明全文を読むことができる。

 

2016-02-21 16:00:07 / shikimi
原文サイトを表示
[ 原文 ] http://www.apc.org/en/news/violations-freedom-expression-name-religion-increa
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