ボーン・デジタル:提供者と取扱業者、アーカイブのレポジトリのための指針(2)

法律: 図書館情報資源振興財団 CLIR ボーン・デジタル アーカイブ レポジトリ

3. プライバシーと知的財産権

アーカイブ資料の収集と移管、目録作成、記述に関与するあらゆる集団の間に、デジタル・プライバシーについての幅広い意見と理解がある。ボーン・デジタル資料の中の個人情報と知的財産権の保護に関連した問題には、著作権とその他の知的財産権の検討事項と大量の電子メール文書の中の取り扱いに注意が必要な内容の管理、法的に保護された私的ファイル、パスワード復号化とディスク・イメージの作成のようなさらに技術的に複雑な問題が含まれる。可能ならいつでも、提供者と取扱業者、レポジトリは、ボーン・デジタル資料の収集に関係しているときには、これらの問題を議論し、合意に達するべきである。

3.1 著作権と知的財産権

いくつかの点で、デジタルファイルの著作権と知的財産権への取り組みは、比較的、簡明なものである:提供者やその他の著作権所有者は物理形式のときと同じように、デジタル形式での知的財産権を保有または移転のいずれかをするかもしれない。しかしながら、デジタル資料には協力して作成され、共有されることができるという容易さがあり、資料を利用するためにレポジトリに赴くことのできない後援者にオンラインやその他のアクセスを提供するというアーカイブのレポジトリの望みがあることから、問題は複雑となる。さらに、国境を越えた収集は世界各国での著作権と知的財産権の法律と慣習が異なるために、挑戦的なものとなりうる。

提供者と取扱業者は、レポジトリに提供するデジタルファイルに他の人々の知的財産が含まれているかどうかを認識しているべきである。例えば、一つのコンピュータが従業員同士、または家族全員で共有されているかもしれない;後者の場合は、子どもたちと配偶者によって作られたファイルを含むことさえあるかもしれない。可能であれば、提供者と取扱業者はボーン・デジタル資料のありうる最初の創作者についての情報をレポジトリに提供するべきである。あらゆる記録情報と同様に、請負人や貢献者、共同制作者の知的財産権は、デジタル形式において尊重されなければならないが、レポジトリ職員は、言われなければデジタルファイルが第三者によって作り出されたということに気付かない、あるいはそれを判断することができないかもしれない。デジタルファイルをレポジトリに移管することの同意においては、提供者以外のコンピュータ利用者によって作り出され、蓄積された第三者のデジタル資料をレポジトリがどのように取り扱うのかについて規定する条項を含むべきである。

レポジトリはプライバシーや知的財産権の懸念との釣り合いをとりながら、デジタル資料へのアクセスの提供に向けて努力し続ける。収集の同意は、ボーン・デジタル資料に特定した取り込みとアクセスの制限事項を含むかもしれない。たとえ著作権所有者がコレクション内のすべての資料に対する著作権を保持しているとしても、使用許諾条件や限られた数のインターネットプロトコル(IP)アドレスを介したオンラインアクセスのような特別の配慮は、レポジトリが一定の資料をオンラインに掲載することを可能にするかもしれない。

3.2 電子メールとその他のデジタル通信

多くの異なるファイル形式で存在する添付ファイルだけでなく、送信され、受信され、保存された莫大な量の電子メール・メッセージは、電子メールの収集を複雑にすることがある。一つの電子メールスレッドにおける一つのメッセージは、その原作者による認識や後の研究者への明白な指示がない状態で編集され操作され得るという容易さがあり、その容易さが電子メール・メッセージを物理的な通信から差別化してもいる。加えて、ボーン・デジタル通信は、ワープロソフトで書かれた手紙と、電子メール・メッセージの添付ファイルまたは物理的形態に印刷されて送られる添付書類のいずれかで送られる手紙を含むかもしれない。これらの文書は、電子メール・アーカイブで遭遇するものと同様の複雑さをもたらすことがありうる。

提供者は移管に先立って、取り扱いに注意を要するメッセージや無関係のメッセージに関して、電子メール・ファイルを選別したいかもしれない。レポジトリと提供者は選別をする人と行われる手続きについて明らかにする必要があるが、電子メール・メッセージの選別は、過度に煩雑あるいは時間を消費する手続きである必要はない。最も簡単な戦略は、提供者がキーワードで検索し、一致したものと期間から恐らく取り扱いに注意を要するメッセージの存在を示しているものを分別することかもしれない。提供者が取り扱いに注意を要するメッセージを選別できないまたは気が進まない場合、レポジトリは方針に従い、そのような検索に職員の時間を費やすか否かを決めなければならない。レポジトリが特定の収集同意によって定められた通りに、より具体的な取り扱いに注意を要する資料の詳細な選別を引き受けることを決めた場合、職員はやむを得ず選別のための戦略を制限するかもしれない。

場合によっては、アクセス制限や電子メール・メッセージの利用に対する制限期間は、職員が選別に着手することが実行可能でないとき、取り扱いに注意を要するメッセージが不適切にさらけ出されるリスクを低減する手段として実施され得る。紙資料と同様に、提供者がデジタル資料の中の潜在的な懸念のある領域にフラグをつけることができるとき、それは役に立つ。どのような場合でも、ファイルの選別と編集は、デジタルファイルがその原資料のメディアから複製された後にのみ着手されるべきである。

長期的に見たアクセスのための保存はまた、合理的な選択であり、とりわけ電子メール・メッセージ内の取り扱いに注意を要する資料の性質が不明である場合や特定されていない場合には、多くのレポジトリにとって選別に対する最も現実的な代替案かもしれない。レポジトリは、安全で安定したサーバーやメディアへの乗換を含むデジタルファイルの基本的な保全のために、多数の電子メール通信に関するその活動に制限を設けることを選択するかもしれない。これらの初期の保存措置は、より良いツールや追加の職員がメッセージの選別を実施できるようになったときや関係者全員が亡くなったときなど、将来のためにファイルの継続的な実行可能性を確保することができる。

提供者と取扱業者、レポジトリは、取り扱いに注意を要するメッセージやメッセージスレッドの取り扱い方について協力し、議論する必要がある。レポジトリは、提供者は識別していなかったが明らかに取り扱いに注意を要するメッセージを見つけ、提供者や知的財産権所有者ともはや会うことができない場合、メッセージへのアクセスを提供するか、それらを除去するか、アクセス制限を課して保有するかを決めなければならない。多くのレポジトリにおいて、電子メール・メッセージの選別に必要とされる労働力の総量は、人的資源が限られているとき、制限のような代替案を探ることをレポジトリ職員に促すかもしれない。

3.3 法的に保護された私的ファイル

レポジトリは、提供されたコレクションが法的に保護された私的ファイル、例えば政府の機密ファイルや医療記録、法律事件ファイル、または社会保障番号とクレジットカード番号のようなその他の種類の機密情報などを含んでいるときのことを、可能な限り知っておく必要がある。これらのファイルのうち、その全体から取り除かれる必要があるかもしれないものもあれば、対象を絞った検索と編集を必要とするものもある。提供されているデジタルファイルの中のそのような資料について知っているかどうか提供者や取扱業者に尋ねることは重要な手順の一つであるが、レポジトリ職員はまた、選別ソフトウェアと人的解析の両方を使い、法的に保護されたファイルを識別し取り扱うことへの注意を怠ってはならない。

3.4 隠されたコンテンツ:ディスク・イメージ、パスワード保護、ファイアウォール

最も包括的な水準で、レポジトリは、ハードドライブやその他の記憶媒体のディスク・イメージ(内容と構造の完全なコピーを含む一つあるいは複数のファイル)を作りたいと思うかもしれない。システムディスク全体のイメージを取り込むことの潜在的利益には、将来の対話型アクセスの可能性があり、それは資料の価値を増大させることがありうる。デジタルファイルとディスク・イメージはまた、とりわけ、あらかじめ隠されたコンテンツや失われた考えを回復し見つけ出すためのまたとない機会を提供することもできる。多くの場合、レポジトリは削除されたファイルや自動的に保存された資料(「自動保存」ワープロの下書きなど)を回復することができるかもしれない。契約書は、ディスク・イメージがデジタルファイルのコレクションに含まれているかどうかを記しているべきであり、もしそうであるなら、プライバシーの懸念に対処するためにディスク・イメージが修正される必要があるかどうかについて記しているべきである。さらに、提供者は、個々のファイルはそれらから抜き出されて公開されるが、ディスク・イメージそのものはもとのまま、保存目的のため職員の利用に限定されるマスターコピーとしての機能を果たすことになるという了解の下で、レポジトリにディスク・イメージを移管したいと思うかもしれない。

ときには、ことにデジタルファイルが権利相続者を介してレポジトリに来た場合、資料は未知のログインやパスワードの陰に隠されているかもしれない。コンテンツはまた、契約者限定の有料の壁(paywalls)や非公開のイントラネット(主に組織に関する記録のためのもの)の陰に存在しているかもしれない。どのような収集同意であっても、レポジトリ職員がパスワードとログインを解読する、または削除されたファイルを回復することを提供者が認めるかどうかを指示するべきであり、これらの方法によって回復されたファイルの所有権を提供者や取扱業者が譲渡するかどうかを指示しておくべきである。解読とファイルの回復は、一部のデジタルコンテンツへのアクセスを得るための唯一の方法かもしれない。提供者以外の利用者によって作られたファイルや収集範囲に入らない資料のような、コレクションに含まれることが意図されていない資料を(実際、紙のアーカイブで長らく起きてきたのと同様に)レポジトリが発見するかもしれないということを、関係者全員が意識しているべきである。

3.5 提供者と取扱業者への推奨事項

・取り扱いに注意が必要なものや無関係のメッセージに対して電子メール・ファイルを選別することを考慮に入れること。これが可能でないときは、適切な制限期間を考慮し、レポジトリとの期日より前に電子メールへのアクセスに関する制限事項について話し合うこと。

・デジタル記録が資料の制作者や提供者以外の人々の知的財産権を含んでいる可能性がある場合、レポジトリ職員に知らせること。

・デジタル記録が、政府の機密ファイルと医療記録、法律事件ファイルのような法的に保護された私的ファイル、または社会保障番号とクレジットカード番号のようなその他の種類の機密情報を含んでいる可能性がある場合、レポジトリ職員に知らせること。

・レポジトリがパスワードとログインを解読することを認めるかどうか熟考する。

・デジタルファイルとデジタルメディアの中に存在するかもしれない様々な削除された情報についてレポジトリ職員と話し合い、そのような情報の取り扱い方と研究者に利用可能とする方法について合意に達すること(例えば、恐らくは制限期間の後に)。

3.6 レポジトリへの推奨事項

・誰が機密情報に関する電子メール・メッセージを選別し、どのような手続きが行われるのかを明らかにすること。

・送信され受信されたメッセージとその添付ファイルのうち、取り扱いに注意が必要なスレッド全部を識別し隔離するために、電子メール・ファイルを注意深く見なおすこと。これらのメッセージの保存とアクセスが、長期間の研究価値とすべての適用可能な法律、収集同意における規定に従って取り扱われることを確実にすること。

・職員や時間、技術の制約により、取り扱いに注意が必要な電子メール・メッセージやその他のファイルを見直すことが可能でないときは、決められた期間における研究者によるアクセスへの制限事項について、提供者や取扱業者と話し合うこと。

・収集の前に、コレクションが政府の機密ファイルや医療記録、法律事件ファイルのような法的に保護されたファイル、または社会保障番号とクレジットカード番号のような特に取り扱いに注意が必要な種類の情報などを含んでいるかどうか尋ねること。

・提供者のファイルに他の人々の知的財産権が存在していることを予期し、適切な方針を確立させること。

・(元のファイル構造の証明と保持やその他の手段により)提供者の作業環境と組織戦略についての情報を取り込みたいという望みと、プライバシーと制限事項に関する提供者の希望の尊重とを調和させること。

・ディスク・イメージと削除されたファイル、自動的に保存されたファイルの価値を熟慮するとき、潜在的な将来の利用とアクセス機構を考慮すること。

・提供者と取扱業者が、デジタル資料に存在するかもしれない様々な種類の削除された情報について気が付いているか確かめること。

・制限事項と編集、最初のレビューで見落とされた取り扱いに注意が必要な資料の可能性について現実的になり、次のことを考慮すること

 ・法的制限事項

 ・制限事項に対する提供者の要求

 ・第三者の制限事項(例えば、許諾用紙のない口述歴史資料)

 ・技術的な制約(例えば、旧式のフォーマット、破損ファイル、その他のアクセスの問題)

 ・利用制限事項(例えば、後援者によって真正性と適切な使用を確実にする必要)

4. デジタル資料の収集におけるキーステージ

一度、関係者全員がボーン・デジタル資料を含むコレクションの収集を始めることを決定したら、移管される資料を明確に示し、収集に関するその他の細部を指定する同意や契約を、レポジトリと提供者や取扱業者との間で確立しておくべきである。デジタルメディアは提供者に即座には分からないファイルやフラグメントを含むことがあるため、そしてレポジトリはボーン・デジタル資料を取り込み、保持し、アクセス可能とするために多大な資源を投資しなければならないため、関係者双方は移管に含まれるファイルの範囲と種類を制限することについて考えるかもしれない。同様に、アーカイブのレポジトリの中には、潜在的な研究と図像的な価値のためだけでなく、将来の技術進歩に伴うより多くの情報の回復をも期待して、デジタルメディアを保持するという、さらに包括的なアプローチを取りたいところもあるかもしれない。その上、物理的財産とデジタル財産の間の一つのとりわけ特筆すべき相違はその容易さにあり、それによりデジタルファイルの完全な複製が作成され広められることがありうる。提供者は、自身が利用するためにデジタルファイルの複製を保持したいと望むかもしれない。レポジトリは、一連のデジタルファイルの所有権と保存、管理に対して唯一の権限のある機関となることを要求するかもしれない。提供者とレポジトリは、収集に含まれるすべてのデジタルファイルの所有権に関する詳細な条件を交渉し明らかにするべきである。

4.1 収集の同意や契約

正式な書面による同意や契約は、資料の権利をレポジトリに移転し、収集に関連した多数の重要事項を取り扱う。ボーン・デジタル資料の移管に関する書面による同意や契約で明らかにする主要な要素は、次のものを含む

・提供者からレポジトリへと移管されるデジタル資料は何か(例えば、ハードドライブ、ディスク、電子メール・アーカイブ、ウェブサイト)

・もしあるとしたら、収集される資料の種類と量に関してどのような制限が設けられるのか

・すべて、または、具体的に識別されたファイルのみ(例えば、ワープロ・ファイル、電子メール・メッセージ)が取り込まれ、保存され、アクセス可能にされるのかどうか

・移管されているが収集同意の範囲内に入っていないファイルをどのように処理するか

・ファイルが取り込まれた後、デジタルメディアは提供者に返却されるべきかレポジトリに保持されるべきか

・提供者や取扱業者が参照用にデジタルファイルの複製を保持することは許容されるのかどうか、また、デジタルファイルの別の複製を異なるレポジトリに提供することは許容されるのかどうか

・法律で保護されていない取り扱いに注意が必要な資料(例えば、社会保障番号、パスワード、金融情報)は、どのように取り扱われるのか

・いずれのファイルや情報も取り込まれるが、編集されるかアクセスが制限されるべきなのか、それらの制限事項はいつ失効するのか

・必要な場合、関係者はどのようにして同意の条件を変更あるいは修正するのか

4.2 連絡と対話

レポジトリ職員と提供者との間の直接のやり取りは、ボーン・デジタル資料の保存とそれらへのアクセスを確実にするということにおいて貴重なものである。しばしば提供者は、特有のファイルを作るために使われたハードウェアやソフトウェアと、移管するつもりの特定の資料、プライバシーと機密情報に関する問題についての質問に答えることのできる唯一の人物である。これらの会話の正確な実態は関係者の技術的知識に応じて変化するかもしれないが、次のような問題を明らかにし、議論することは重要である

・取り扱いに注意が必要な資料をどのように調査し選別するのか

・私的なコンテンツの制限や編集のための手続きはどのようになっているのか

・どのようにして資料は研究者にアクセス可能となるのか(オンラインで利用可能となるのかどうか、それはいつなのかを含む)

・どのようにしてデジタル資料は保管され保存されるのか

提供者はまた、利用したハードウェアとソフトウェアと、デジタルファイルを作り、保管し、維持する方法について詳述する個人的なコンピュータ使用の歴史をレポジトリ職員に提供するよう奨励される。より詳細な情報を提供者がもたらすことができれば、レポジトリはボーン・デジタル資料の保存をより成功させることができる。提供者がレポジトリとの話し合いにおいて技術専門家を関与させることは有益であることもあり、そのファイルの管理を技術的職員に頼っている組職やその他の団体が提供者である場合は、とりわけそうである。

提供者がコレクション資料について話し合うことができない場合、レポジトリは収集するボーン・デジタル資料の情報を与えることのできる他の人々と連絡を取ることを考慮するかもしれない;提供者の権利相続者や家族、同僚が、助力を得る可能性のある情報源である。ときには、今や手の届かない人である提供者によってはるか昔に作り出されたメディアやファイルの場合はとりわけ、レポジトリがコレクションの中のデジタル資料についてさらに詳しく知ることは可能ではない。

レポジトリが将来、提供者からさらなる資料を得ることを期待している場合、早くからやり取りを行うことは、後から作られるボーン・デジタル・ファイルの保存に関して提供者をより良く教育するという残留効果をもちうる。デジタルメディアやデジタルファイルの最初の移管を議論している間に、レポジトリは将来または進行中のデジタル収集のための取り決めを確立し、議論するかもしれない。同様に、レポジトリは収集の初期段階に、現地調査の際も含めて、収集同意の決着以前に、適切な技術専門家を関与させることを考慮するべきである。

4.3 資料の移管

一度、収集の条件が設定されたなら、レポジトリと提供者はボーン・デジタル資料の移管方法を決定しなければならない。取り外し可能な媒体に保存されたファイルや提供者が電子的に移管したいと思っているファイル、アーキビストが現地調査で取り込む可能性のあるファイルに対する移管戦略は異なる。提供者からレポジトリへのデジタル資料の移管のための最良の方法は、問題になっている具体的な資料次第である。各レポジトリは移管に関してそれぞれ推奨方法をもっているかもしれないが、データの複製と電子的な移管を含むどのような戦略も、提供者とレポジトリの双方にとって時間のかかるものとなりうる。提供者はまた、いくつかの収集は目新しいシナリオをもたらし、それはレポジトリがコレクション資料を取り込むために新たな方法論を研究し、開発し、試験することを必要とするかもしれないということを知っておくべきである(予期せぬことへの準備方法についての推奨事項に関しては付録Cを参照)。

移管が行われる前に、提供者と取扱業者がアーカイブのレポジトリの指導を求めることは、強く推奨される。しばしば、レポジトリ職員はメディアとファイルを自分で回収する方を好む。ディスクやコンピュータのハードドライブ、その他のハードウェアを直接レポジトリに送る予定の提供者は、デジタルメディアの安全で厳重な取扱いと梱包、運送に関するレポジトリの指針に従い、それを行うべきである。レポジトリへ移管されるときに、メディアが湿気と極端な温度、強い電磁場、乱暴な取り扱いから十分に保護されていることは非常に重大なことである。いずれの機器も輸送中には緩衝材で支えられるべきであり、動く部品は固定されるべきである(例えば、ダミーのフロッピー・ディスクをフロッピー・ディスク・ドライブに挿入することが勧められるかもしれない)。もう一つの方法として、ファイルは安全な手段で電子的に移管されるかもしれない。これらのシナリオはすべて、十分に本物であることが証明される方法で正しいファイルが収集されることを確実にするための、確立したレポジトリの取り決めと分かりやすい指示、試験済みのドキュメンテーション戦略による恩恵を受けるだろう。

この過程の間中、ファイルのレポジトリへの移管より前に、誰がデジタルメディアを取り扱い、どのような行動がとられたのかを提供者と取扱業者が文書で記録することは重要である。例えば、提供者や取扱業者は、ファイルがコンピュータのハードドライブからディスクへと複製されたのかどうかを明らかにするべきであり、分かる場合は、コンピュータの型とモデル、オペレーティングシステムを注記するべきである。電子的に移管されたファイルの保管と取り扱い、安全削除に関してどのような安全対策が整えられているべきかを早い時期に考慮することもまた重要である。

[図1:移管過程の構成要素]

4.4 レポジトリでの資料の最初の取り扱い

デジタルメディアは、収集過程の中で多数の職員の手を通り抜けるかもしれない。レポジトリはデジタルメディアとデジタルファイルを取り扱う人々の数を最小限にするべきであり、職員はデジタル資料の移管のその度毎に綿密に文書で記録を残すべきである。ボーン・デジタル資料が現場に到着した後、レポジトリは、確実にそれらが適切な部門に安全に素早く現状のまま移管されるようにするべきである。例えば、物理的に輸送される資料は、とりわけそれらが紙を基本とした資料のより大きな積み荷の中に含まれている場合、レポジトリのコレクション保管場所に組み込まれる前に、保存管理者による点検を必要とするかもしれない。学芸員やその他の職員は、収集や展示、その他の目的についての発表に備えて資料を調査する必要があるかもしれない。長期間保管されてきたコレクションは、アーカイブの処理が進められるまで発見されていなかったデジタルメディアを含んでいるかもしれない。

ボーン・デジタル資料にアクセスする試みは、その中身とフォーマット、ファイルに関連したメタデータを変更する可能性があるため、レポジトリは職員によるこれらの資料の取り扱いに対して明確な取り決めを確立しなければならない。そのような取り決めはまた、異なる部門の間を収集物が移動するときに、どのレポジトリ職員がメディアを取り扱い、彼らがどのような行動を取ったのかを文書で記録するための戦略を含むべきである。

4.5 提供者と取扱業者への推奨事項

・レポジトリが移管されたデジタルファイルの独占的な所有者となるのかどうか、デジタルファイルの複製は認められるのか、もしそうであるなら、どのようにしてそれらは作られるのかについて議論する。

・どのボーン・デジタル資料がレポジトリに提供されるのかをはっきりと識別する。

・デジタルメディアをレポジトリに提供する場合、メディアのすべてのファイルが取り込まれアクセス可能にされてよいのか、またはある種のファイルのみがアクセス可能なのかを決定する。

・収集の同意が別の方法を述べていない限り、レポジトリはオリジナルのデジタルメディアを保持するための態勢を整える。

・限られた特定のファイルや情報は制限される、または、編集される必要があるのかどうか、そしてそれらの制限事項はいつ失効するのかを決定する。

・契約や同意に関してレポジトリと共に作業するとき、法律の専門家からの助言を求めることを考慮に入れる。

・メディアとファイルの複製と移管の際に従うべき指針についてのレポジトリ職員との対話に技術専門家を関与させることを考慮に入れる。

・デジタル資料の取り込みと処理の間、レポジトリと継続的に連絡を取る体制を整える。

・もはや提供者に使用されていないコンピュータ機器を収集の一部として提供できるかどうか決定する。

・収集物の中のデジタルメディアとコンピュータに関する背景情報を提供するため、パーソナルコンピュータ史を書くことを考慮に入れる。

・ハードウェアの輸送またはデジタルファイルの移管に関してレポジトリからの指針を求める。

・レポジトリに到着するまたは収集される前に、デジタルメディアとデジタルファイルが保管され、アクセスされ、輸送されたその方法を文書で記録する。

・相当の時間をかけて電子的な複製と移管のための体制を整え、レポジトリ職員が目新しい収集シナリオに合わせて新たな取り込み技術を開発するための態勢を整える。

4.6 レポジトリへの推奨事項

・レポジトリが唯一あるいは原本となるデジタルファイル一式の独占的な長期間の所有者となり、それらのファイルは他のレポジトリや購入者には利用可能とならないのかどうか明らかにする。

・どのボーン・デジタル資料が収集に含まれることになっているのかはっきりと識別する。

・移管される資料がレポジトリにとっての研究価値をもつことを確実にするために、収集されるべきファイルの範囲を制限することを考慮に入れるが、ディスク全体を含めた包括的な収集の潜在的利益を見逃さない。

・移管されたが収集同意の範囲には一致していないファイルをどのように処理するかを考慮する。

・書面による同意や契約とともに収集の詳細を文書で記録する。

・デジタル資料をレポジトリに移管する方法を決定する。

・可能であれば、提供者や権利相続者と直接連絡を取る方法を確立する。

・デジタル資料をどのように取り扱うべきかとそれらがレポジトリへ到着してからデジタルアーキビスト(または他の適切な人)のもとへと届くまでをどのように文書として記録するべきかに関しての取り決めを確立する。

・目新しい収集シナリオのための新たな取り込み方法を研究し、開発し、試験する体制を整える。

5. レポジトリによる収集後のレビュー

ボーン・デジタル資料は、複数の段階の評価を必要とするかもしれない。理想的には、初期評価は収集より前に行われ、そのとき提供者と取扱業者、レポジトリ職員はどの資料をレポジトリが収集するかを決定するために協力する。職員は資料がレポジトリに到着した後にもう一つの評価を請け負う必要がある。収集後のレビューの過程は、ディスクタイトルの目録や受け取ったディレクトリとファイルの一覧のような、デジタル資料についての情報を提供者に与える機会をレポジトリにもたらすことがある。

5.1 物理的状態

レポジトリ職員がコンテンツを取り込み保存するためには、デジタルメディアは適度に清潔であり物理的な損傷のない状態でなければならない。職員は輸送の前または輸送中に、デジタルメディアを損傷から保護する手助けをするため、提供者や取扱業者に保管と梱包の助言を提供するかもしれない。ときには、コンピュータメディアは昔の損傷に耐えてきたという場合もある。コンピュータとディスク、テープへの損傷例には、曲がったコンピュータシャシやディスク・ドライブ、つぶれたカートリッジケース、露光した内部の磁気ディスク、傷が付いた光ディスク、ほこりで覆われたフロッピー・ディスクなどがある。メディアを取り扱った人と、それらが保管されてきた場所についての情報だけでなく、物理的状態についての移管前の文書による記録は、いつ損傷が起きたのかを特定する役に立つかもしれない。コンピュータ機器とメディアの日付のあるデジタル写真は、このような状況下では非常に役に立つものとなるかもしれない。提供者と取扱業者は、アーカイブのレポジトリへの最初の相談なくして、どのような復元や修復の試みも行わないよう助言される。

デジタルメディアへの物理的損傷は、重要なコンテンツへのアクセスを妨げ、物質的な遺物としての資料の価値を危うくする可能性がある。加えて、コンテンツにアクセスしようして、屈曲し、汚れ、壊れたメディアを作動するディスク・ドライブに挿入することは、レポジトリの処理ワークステーションを取り返しがつかないほど損傷させることがありうる。デジタルメディアが予期されたものとは異なる状態でレポジトリに到着したとき、レポジトリ職員は資料を受け入れるか、それとも、レポジトリと提供者や取扱業者との同意を再検討するかどうかを決定するべきである。メディアへの物理的損傷はまた、レポジトリが提供することのできる保存アクセスの水準を変えるかもしれない。その他の要因に関してファイルの物理的状態を文書で記録し、情報を容易にアクセス可能にすることは、保存計画を促進するだろう。物理的状態についての情報はまた、将来の研究者の関心を引くものとなるかもしれない。提供者と取扱業者、レポジトリは、それらが数十年前のもので、古びた外観をしているからといって、デジタルメディアから何ら価値のあるものを回復することができないと決め込むべきではない。

レポジトリ職員はまた、デジタルメディアの物理的なラベルに細心の注意を払うべきである。ラベルが必ずしも正確とは限らないが、ときにそれらが十分に詳細で役に立つ情報を提供し、レポジトリ職員がメディアの評価を実施し、目録と照合するのに役立つことがある。ラベルの情報がデジタルコンテンツと無関係に見えるときでさえ、メディアの一部分の来歴に見通しを提供するかもしれない。

[図2:物理的損傷のあるデジタルメディア:CD、USBメモリ、3.5インチ・フロッピー・ディスク。写真:© shutterstock.com]

5.2 デジタルの状態

オリジナルのメディアとファイルを不注意な改変から保護する書き込み保護技術を使用して、レポジトリ職員がデジタルメディアを事前に確認して取り込む最初の存在となることは、より望ましいことかもしれない。メディアを複製や画像処理するとき、ハッシュ値(ときにチェックサムとして知られている)を作り出すことは優れた実践であり、それは一つ一つのデジタルオブジェクトやファイルに対して固有の「デジタル指紋」としての役割を果たす。ファイルの中でたった一つのビットが変更されると、変更されたファイルは異なるハッシュ値をもたらす;反対に、100年の間、ファイルが同じ試験を受け、最初に受け取ったときに返したものと同じハッシュ値をもたらすのなら、レポジトリはその世紀の間ファイルが元のままであったことに確信をもつことができる。

ときには、提供者と取扱業者が、恐らくは技術専門家の助けを借りて、彼ら自身でハッシュ値を生成したいと思うかもしれない。もしそうであれば、ハッシュ情報は、レポジトリに届いたファイルが提供者から移管されたものと一致していることを、レポジトリ職員が確認するのに役立つことができる。ハッシュ値の不一致は、受け入れた資料が改変されたまたは輸送中に破損されたことを示しているだろう。職員はこれらの損傷ファイルを受け入れるか、または断るか、問題の原因を究明するために提供者と協力するか、可能であればそれを修理するかどうかを決定する必要があるだろう。移管より前に生成されたハッシュ値と一度資料がレポジトリに到着してから生成されたハッシュ値とを比較し確認することは、提供者と受け入れるレポジトリのどちらの側にも、一定の水準の技術的快適性と専門的知識が要求される。

内部の方針と提供者の同意が許すのであれば、レポジトリ職員は資料がレポジトリに到着した直後に、ディスク・イメージやコンテンツ全体またはメディアの一部分の完全な複製、個々のファイルの作業用の複製を作り出し、コンテンツをプレビューするために利用可能なツールを使用するかもしれない。ときに、アーカイブのレポジトリは提供者や取扱業者のところで、プレビューやファイルの実際の取り込みさえ、申し出る、または請け負うことを好むかもしれない。移管されたメディアの中身またはファイル一式が本来の目録のものと一致していない、またはレポジトリのコレクション構築方針に適合していないとレポジトリ職員が判断する場合、提供者や取扱業者とのさらなる議論を行うことが適切かもしれない。

5.3 保持と処分

レポジトリの内部方針と提供者との同意によるが、ディスク・イメージとシステムファイル、アクセスできないファイル、非合法のコンテンツ、損傷したまたは未使用のメディア、レポジトリの収集方針外に当たるコンテンツは、提供者に返却されるかもしれない。いずれの処置も、完全に文書で記録され、収集同意とレポジトリの方針に支えられたものでなければならない。

例えば、レポジトリはその中身に最終的にアクセスできない損傷したメディアに関する保持方針(retention policy)の作成について考慮するかもしれない。収集同意は、どのようにして、そして、どのような状況で、資料がコレクションから処分される可能性があるかについて明記することがあり、方針は、このような資料が安全に処理される方法を概説することがある。一部のレポジトリは、ファイルの知られている最後の複製を削除するのに気が進まないかもしれず、提供者がその破棄に責任を負うと主張するかもしれない。

ブランク・ディスクやアクセスできないファイルが入っているものはそれでも、物理的対象として、または授業で使う道具としてさえ、文化的価値を保持しているかもしれない。たとえ難解なファイル形式やディスク形式のために、一部のファイルが現在は利用できないとしても、ファイルやディスクによって表示されたビットが取り込まれたなら、未来の技術(あるいは、ひたむきな研究計画)がこれらのビットを有意義な方法で解釈することを可能にするかもしれない。従って、レポジトリは、明らかにアクセスできない資料を保持しないことを後悔するようになるかもしれない。デジタルの文脈で、放置や積極的な保存のために資源を費やさないという決定は、しばしば緩やかだが容赦のない破壊に等しいということに留意するのもまた重要である。

5.4 提供者と取扱業者への推奨事項

・最初のコレクション目録や調査において、デジタルメディアへの物理的損傷についての情報を含める。損傷したデジタルメディアに言及することは、紙資料への損傷を公表することと同じくらい重要である。メディアと機器のデジタル写真は役に立つかもしれない。

・収集について、レポジトリ職員との継続した連絡に対してオープンであり続ける。

・物理的メディアの梱包と輸送とデジタルファイルの移管のときに細心の注意を払う。輸送中に損傷したメディアや移管において破損したファイルは、重要な文化的価値を失う。

5.5 レポジトリへの推奨事項

・デジタルメディアが輸送中に損傷したのかどうか判断する。

・ファイルが輸送や移管過程による影響を受けた可能性があるのかどうか判断する。

・資料のデジタルの状態と真正性を確認するために、ハッシュ値やチェックサム(固有のデジタル指紋)とプレビューツールを利用する。

・それらへのアクセスを試す前に、デジタルメディアの物理的状態を注意深く観察する。

・アクセスできないメディアが物質的な遺物としての価値を保持しているかどうか判断する。

・ある種のファイルとデジタルメディアの保持と処分に関する方針を作成する。決定が方針によって支持されることを確認する。

6. 結論

ボーン・デジタルのアーカイブのコレクションを管理する職は、予期せぬ出来事との極めて日常的な遭遇を約束する。レポジトリがボーン・デジタルのアーカイブのコンテンツをますます収集するにつれて、よく知られていないまたは発表されていないファイル形式とハードウェア、コレクションへの追加は、確実な定数のように思える。

この報告書はアーカイブの驚きを減少させるのに役立つ優れた実践を記述した。収集に先立って綿密で明快な調査とインタビュー、その他の種類の評価を実施することは、コレクションの予期せぬ多大な追加よく知られていないメディアとハードウェア収集範囲の思いがけない拡大の発生を減少させるのに役立つことができる。文書化され十分に形作られた収集方針と実践は、時期や梱包と輸送の標準、累積の頻度(frequency of accruals)、意図せず移管された、または収集同意や契約で十分に取り扱われていない「rogue data」のような、ボーン・デジタル資料の移管の詳細についての曖昧さを軽減するかもしれない。さらに、デジタルの移管と受け入れの質を高めるため、取扱業者とレポジトリは、提供者のコンピュータ使用習慣について理解を深め、ドキュメンテーションを向上させるために取り組むべきである。記録と情報管理への初期のアーカイブの介入は、ファイル管理とデータのバックアップを取り巻く、利用者と提供者の特異性によるアーカイブに対する影響を方向づけるのに役立つだろう。

明快ですぐに使用可能な方針を作成することにおける相応の努力にもかかわらず、予期せぬことが、ボーン・デジタル資料を収集し管理するレポジトリに挑戦と驚きを与え続けている。提供者と取扱業者、レポジトリ職員との間の通信網の開設と透過性の確立、効率的なアーカイブの実践のような方策は、不愉快な不意打ちを最小限にし、ボーン・デジタル収集物の質の向上を約束する。

【付録部分の訳は省略します。】

【2分割して訳した2つ目。原文はこちらから入手できます:http://www.clir.org/pubs/reports/pub159

  2014-01-26 20:36:51 / shikimi
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[ 原文 ] http://www.clir.org/pubs/reports/pub159/pub159.pdf
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